AIが買ってきた注文、返品は誰が受ける? Shopifyが商品カタログをAIエージェントに開放
ちょうど今、僕はShopifyと向き合っています。Shopifyは、誰でもネットショップを開けるサービスで、世界中のたくさんのお店が使っています。20年提供してきた通販の基幹システムと、Shopifyをつなぐ部分を作っているところです。
そんなタイミングで、Shopifyから大きな発表がありました。
この記事は、動画でもお話ししています
AIが、お客さんの代わりに買い物をする
2026年10月13日、Shopifyは、10億件を超える商品カタログを、さまざまなAIエージェントに開放しました。
AIエージェントというのは、質問に答えるだけでなく、人の代わりに調べたり、手続きしたりまでしてくれるAIのことです。ここでは「買い物を代わりにしてくれるAI」と考えてください。
これまでは、Shopifyと提携した決まったAIだけが、商品を探して買うことができました。これからは、買い物客が自分の使っているAIを、Shopifyの買い物用アカウントにつなぐだけ。あとはAIが商品を探し、Shopifyの支払いサービスで支払いまでしてくれます。
勝手に買われるわけではありません。購入のたびに本人の承認が必要で、予算の上限や「すぐ届くものだけ」といったルールも決められます。
Shopifyの思想は良いと思います。こういう新しいことを、すぐに形にできる。そこは本当にすごいです。
でも、AIは間違える
ただ、僕には気になることがあります。
AIが代わりに買うようになると、「思っていたのと違うものが届いた」という注文が増えるんじゃないか。そう思っています。
だって、AIは間違えますから。毎日AIを使っていると、それはよくわかります。「こういう商品を頼んだのに、違うのが来た」。これは十分に起こり得ます。
では、そのとき誰が対応するのか。
Shopifyの仕組みでは、AI経由で売れても、売り手はお店のままです。AIという新しい入口に商品を出すには、返品・返金のポリシーをきちんと用意しておくことが求められています。つまり、配送も返品も返金も、ふだんの注文と同じくお店が受けることになります。
一方で、AIが選び間違えたときの責任をどう分けるのかは、まだはっきりしていません。
でも、よく考えるとおかしな話です。AIが選び間違えたのは、お店が悪いわけではありません。かといって、AIのせいにして責任を取らせることもできません。
誰も悪くないのに、返品の手間とコストはお店に残る。これからは、こういう難しい問題が出てくると思います。
お店の負担を、今のうちに考えておく
だからといって、この流れを止めることはできません。対応していくべきです。
僕が大事だと思うのは、お店の負担を今のうちに考えておくことです。
- AIが読み間違えにくい商品データにする。サイズ、色、対応機種、内容量など、間違いのもとになりやすいところほど、はっきり書いておく
- 返品のルールをはっきり書いておく。「条件により」のような曖昧な書き方を避けて、AIが読んでも、人が読んでも、同じように分かる書き方にする
- どこから来た注文かを記録しておく。AI経由の注文で返品や問い合わせが多いのか、後から確かめられるようにする
3つ目は、基幹システムの仕事です。AIも、楽天や自社サイトと同じように「一つのチャネル」として扱う。そうすれば、どのチャネルで何が起きているかが見えます。
AIが買い物をする時代は、もう始まっています。便利さの裏で誰が負担を担うのか。そこまで考えておくのが、通販に関わる人間の役目だと思っています。
AIに読まれる商品データの整え方は、こちらの記事でも書きました。→ SEOの次は「AIに選ばれる商品データ」――ECの商品マスタが売上を左右する時代
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フォワード フィールド テクノロジーズ株式会社 代表取締役。 1996年から業務システムの保守・開発に従事。官公庁・保険・製造業を経て、2007年からコンサルティング会社の開発部門を統括。2026年にFFTを創業。一般社団法人日本生成AI推進協会 技術部長。
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