5分でできる自動化を、「急に変えないで」と言われた話
現場の面倒な仕事を、ソフトウェアやAIで楽にする。それが僕の仕事です。
でも先日、良かれと思ってやった自動化に、お客さんから「急に変えないでほしい」と言われました。今回は、その失敗の話です。
この記事は、動画でもお話ししています
後ろで見ていて、もったいないと思った
先日、お客さんの事務所に行ったときの話です。
たまたま、ある社員さんのパソコン作業を後ろから見ていました。その方は、手書きの報告書を一枚ずつ見ながら、内容を手でまとめていたんです。下手をすれば半日かかる作業です。
報告書をスキャンしてAIに読ませれば、30分ほどで終わります。正直、見ていてもったいないと思いました。
そこでその場でAIツールを入れて、「報告書をスキャンして、こう頼めば、AIが整理してまとめてくれますよ」と設定しました。その社員さんは驚いて、喜んでくれました。僕としても、いいことをしたつもりでした。
翌朝届いたメッセージ
次の日の朝、その会社の方からメッセージが届きました。
要約すると、「自分たちは何十年もこのやり方でやってきた。それを急に変えないでほしい」という内容でした。
読んだ瞬間、「はぁー、またか」
読んだ瞬間、正直「はぁー、またか」と思いました。
たくさんの現場に入っていると、こういうことはときどきあります。AIだからというわけではありません。自動化そのものを望んでいない。何十年も自分たちのやり方でやってきたことに、プライドを持っている人がいるんです。
僕の仕事は、面倒な仕事や無駄な仕事をなくすことですから。
ただ、その気持ちも分からなくはありません。何十年も積み上げてきたやり方を、外から来た人間に急に変えられたら、いい気はしないと思います。
一人だけ楽になると、差が生まれる
それに、その会社の方からは、職場のバランスのことも言われました。
自動化で楽になったのは、その場で設定した一人だけです。同じ職場の中で、一人だけ仕事のやり方が変わる。そうなると、まわりの人との間に差が生まれます。
便利な道具は、使う人を楽にするだけではありません。職場の中のバランスまで変えてしまうことがあります。これは、作る側からはなかなか見えないところでした。
絶対に便利なのに、選ばれない
この仕事は難しいと、改めて思いました。
コンピューターやAIのことだけ分かっていればいい、というわけではありません。そこで働く人の思いまで考えて進めないといけない。
便利になるから、自動化できるから、それでいい。そういう話ではないんです。何でもかんでも自動化すればいい、というものでもありません。
それでも、もどかしさはあります。絶対に便利なのに。こうすれば絶対に楽になるのに。それでも楽になる方を選ばない人がいます。楽になること自体を嫌がる人もいます。
昔からずっと、このジレンマの中で仕事をしています。
一緒に考えればよかった
とはいえ、その方の何十年分の思いは本物だと思います。
よくよく考えると、その方にも自分なりの考えがあったのかもしれません。どの部分から自動化するか、どんな順番で変えていくか。
一方の僕は、5分ほどで設定して自動化できてしまうので、その場で速攻やってしまいました。それがいけなかったのかもしれません。
本当は、いきなり自動化を入れるのではなく、これからどう変えていくかを、その方と一緒に考えていけばよかったのかもしれません。道具を入れるのは一瞬ですが、やり方を変えるのは人です。
今の急激な変化に、ついていけない人や、望まない人は必ずいます。僕たちはこの変化に対応して順応してきましたが、そうではない人も絶対にいる。
そういう人たちに、どう分かってもらい、どう順応していってもらうか。それが、僕の仕事のこれからの課題です。楽にする技術を届けるだけでなく、変わることに納得してもらうところまで。これからも、いろいろ考えていきたいと思います。
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フォワード フィールド テクノロジーズ株式会社 代表取締役。 1996年から業務システムの保守・開発に従事。官公庁・保険・製造業を経て、2007年からコンサルティング会社の開発部門を統括。2026年にFFTを創業。一般社団法人日本生成AI推進協会 技術部長。
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