アプリ内製化、最初の1本は何を作るか
「業務アプリを自社で作りたい。でも、最初に何を作ればいいか分からない」
内製化の相談で、よく聞かれる質問です。先に答えを書きます。最初の1本は、次の3つを満たす仕事から選びます。
- 繰り返しやっている仕事
- 同じ内容を、2回以上入力している仕事
- 失敗しても、手作業に戻せる仕事
この3つがそろっていれば、題材は小さくて構いません。むしろ、小さいほうがうまくいきます。
僕がやっている3日間のブートキャンプでも、1日目に題材を決めます。そのときに見ているのが、この3つです。
この記事は、動画でもお話ししています
最初の1本は、3つの条件で選ぶ
最初の1本で大事なのは、立派なものを作ることではありません。「自分たちで作れる」と分かることです。そのために、この3つで選びます。
1. 繰り返しやっている仕事
毎日、毎週、毎月。何度も繰り返す仕事ほど、題材に向いています。
使う回数が多いと、良くなったことにすぐ気づけます。「これ、楽になったね」という声が、早く、何度も出ます。
使うたびに「ここはこうしてほしい」も見つかります。直す機会が多いほど、作る側も上達します。
年に1回しかやらない仕事は、作っても次に使うのは1年後です。うまく動くかどうかも、1年後まで分かりません。
2. 同じ内容を、2回以上入力している仕事
紙に書いたものを、Excelに打ち直す。Excelの数字を、会計ソフトに入れ直す。
こうした転記は、アプリにすると効果がいちばん見えやすい仕事です。入力が1回で済めば、時間が減るだけでなく、打ち間違いも減ります。
しかも、何をどこに写しているかがはっきりしているので、AIにも伝えやすい。最初の1本に向いている理由です。
3. 失敗しても、手作業に戻せる仕事
作ったアプリが、途中で動かなくなることはあります。最初の1本なら、なおさらです。
そのときに、昨日までのやり方に戻れば業務が止まらない。そういう仕事を選びます。
逆に言えば、止まったら困る仕事は、最初の1本には向きません。
最初に選ばないほうがいいもの
- 会社の基幹システムの置き換え
- お客様が直接さわるもの
- お金を直接動かすもの
- 人によって見せる情報を、細かく分ける必要があるもの
どれも、いつかは取り組めばいい仕事です。ただ、最初の1本には向きません。止まったときに、戻る道がないからです。
ブートキャンプの3日間で言えば、もうひとつ理由があります。大きなものを作ったり改修したりすると、単純に時間が足りなくなるのです。題材が大きいと、AIエージェントが考える時間も長くなり、数時間、応答が返ってこないこともあります。貴重な3日間を、待つだけの時間にしてしまうのはもったいない。
受講した人が、実際に作ったもの
システムパック株式会社の陶山さん
8月にブートキャンプを受講した陶山さんは、前職が営業で、入社して2か月でした。受講後、自分で3本のツールを作りました。
そのうちの1本が、会計ソフトと連携して、交通費精算をボタンひとつで下書きまで作るツールです。社内で使われることになりました。
3つの条件に当てはめてみると、よく分かります。
- 交通費精算は、繰り返し必ず発生する
- 交通費の内容を、会計ソフトに入れ直す転記の仕事
- 作るのは「下書き」まで。最後は人が確認するので、おかしければそこで直せる
特に3つ目がうまいところです。いきなり全部を自動にせず、人が確認する手前で止めている。だから、失敗しても困りません。
豊前市のパン屋さん
福岡県豊前市でパン屋を営むご夫婦は、自分たちのパン屋のための業務アプリ「こねる」を自社で開発し、普段から使っています。
自分たちの毎日の仕事を、自分たちで楽にする。内製化の、いちばんまっすぐな形だと思います。
題材の見つけ方
「3つの条件は分かった。でも、うちで当てはまる仕事が思いつかない」という方もいると思います。そういうときは、次の方法で探してみてください。
1週間、「またこれか」と思った作業をメモする
同じ作業をしながら「またこれか」と思ったら、それが候補です。1週間メモするだけで、案外たくさん出てきます。
現場の人に「いちばん面倒な転記は何ですか」と聞く
社長が面倒だと思っている仕事と、現場が面倒だと思っている仕事は、たいてい違います。実際に手を動かしている人に聞くのが、いちばん早いです。
毎回コピーして使っているExcelを探す
月が変わるたびにファイルをコピーして、中身を消して使っているExcel。そこには、繰り返しの仕事がほぼ確実に隠れています。
日報や報告書、顧客や案件の管理、社内の申請と承認、在庫や備品の管理、シフト。Excelやホワイトボードでなんとか回している仕事は、だいたいアプリにできます。
作り始める前に、1枚だけ書く
題材が決まったら、作り始める前に、次の3つを紙1枚に書きます。
- 誰が使うか
- 何ができたら成功か
- 止まったら、どう戻すか
これがあると、AIに伝えることがはっきりします。何を作らせるかがあいまいなままだと、AIはそれらしいけれど、ずれたものを作ります。
もうひとつ。AIには、いきなり作らせません。まず計画を出させて、人が読みます。頼んでいないものが入っていないか、大事な条件が抜けていないか。そこを直してから作り始めます。
2本目からは速くなる
陶山さんは、受講後に3本のツールを作りました。
1本目で身につくのは、道具の作り方そのものより、AIへの伝え方と、AIが作ったものの確かめ方です。これは2本目、3本目にそのまま使えます。
だから、最初の1本は小さくていい。小さく作って、動かして、「自分たちでも作れる」と分かること。それが、内製化のいちばん大きな一歩です。
まとめ
アプリ内製化の最初の1本は、次の3つを満たす仕事から選びます。
- 繰り返しやっている仕事
- 同じ内容を、2回以上入力している仕事
- 失敗しても、手作業に戻せる仕事
大きなものから始めず、小さく作って、動かして、確かめる。2本目からは、そのぶん速くなります。
題材選びから、作る、確かめる、動かすまでを、御社の実務で一緒にやるのがブートキャンプです。
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無料相談を申し込むまず中身を知りたい方は現場開発プラン(FDE)現場アプリ内製化ブートキャンプ導入事例:システムパック株式会社・豊前市のパン屋「ぱんのこ」
フォワード フィールド テクノロジーズ株式会社 代表取締役。 1996年から業務システムの保守・開発に従事。官公庁・保険・製造業を経て、2007年からコンサルティング会社の開発部門を統括。2026年にFFTを創業。一般社団法人日本生成AI推進協会 技術部長。
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