AI活用読了 約6分

「FDE」が7割捨てられるなら、何が残るのか — ガートナー予測を読んで

最終更新: 2026年11月5日

ガートナーの予測に、正直ドキッとした

米調査会社ガートナーが、ベンダーのFDE(フォワードデプロイドエンジニアリング)で作られたAIエージェントを、2028年までに企業の70%が放棄するという予測を出しました。あわせて、ただのコンサルティングが「FDE」の名前で売られる「FDE洗浄」のリスクも指摘しています。

(出典: Gartner のプレスリリース、2026年9月29日、英語)

私は「独立系FDE」を名乗って、地方の中小企業の現場に入り、面倒な業務をソフトウェアに変える仕事をしています。同じ言葉を使う者として、この予測は他人事ではありません。読み込んでみると、何がFDEを失敗させるのか、そして何をすれば失敗しないのかが、かなりはっきり書かれていました。

この記事は、動画でもお話ししています

予測が言っていること

FDEは本来、自社製品を持つベンダーのエンジニアが顧客の現場に入り込み、製品を顧客固有の課題に合わせて作り込むモデルです。現場で得た知見を製品に戻し、製品そのものを強くするところまでが狙いでした。

ところが今は、実装支援やSI、AIコンサルにも「フォワードデプロイド」のラベルが貼られている、とガートナーは指摘します。そのうえで、FDEが守るべき原則として次の3つを挙げています。

  1. 深い製品知識と、製品と現場の密な統合が本当に必要な問題にだけFDEを使う
  2. FDEを社内の業務担当・技術者・エンドユーザーに浸透させ、知識を共有して仕事に反映させる
  3. 出口戦略を最初から明確にしておく

これを守らないFDEは、技術的に失敗する前に「構造的に」失敗する。現場で繰り返し出てくる要望を製品の機能に戻せる案件は2割未満で、7割の企業は作ったエージェントを手放すことになる、という見立てです。

なぜ7割も捨てられるのか

理由は単純だと思います。作った人がいなくなると、誰も触れなくなるからです。

ベンダーのエンジニアが現場に入り、優秀な腕で短期間にエージェントを作り上げる。導入直後はうまく動きます。でも業務は毎月少しずつ変わります。取引先が増える、帳票の形式が変わる、担当者が入れ替わる。そのたびに直す人が必要です。

ところが顧客の社内には、それが何をしているのか、どこを直せばいいのかを分かる人がいません。エンジニアはもう次の現場に移っています。結果として「なんか最近ずれてるよね」と言われながら使われなくなり、静かに放棄される。30年この業界にいて、同じ構図を何度も見てきました。AIになっても、そこは変わっていません。

つまり問題は技術ではなく、知識が現場に残らない構造と、最初から「その後」を決めていない進め方にあります。ガートナーの原則2と3は、まさにここを突いています。

「内製化ブートキャンプ」は、原則2と3への答えになっている

私たちが提供している「現場アプリ内製化ブートキャンプ」は、非エンジニアを含む社員の方が、AIを使って自分たちの業務アプリを作れるようになる3日間の集中プログラムです。振り返ると、この形はガートナーの原則2と3にそのまま対応していました。

原則2「知識を現場に浸透させる」に対して

作業はすべてお客様のPCで、お客様自身の手で行います。私は横について、詰まったところを一緒にほどくだけです。資料やソースコードは一切預かりません。だから3日後には、アプリと一緒に「作り方と直し方」が社内に残ります。業務が変わっても、自分たちで手を入れられます。

原則3「出口戦略を最初から決める」に対して

ゴールは最初から「最初の実用版を公開するところまで」と決めています。その後は、必要な会社だけが月額のAI顧問を選べます。依存させるための伴走ではなく、詰まったときに相談できる相手がいる、という位置づけです。私がいなくなってもアプリは止まりません。それが出口です。

AIのおかげで、作ること自体は誰にでもできる時代になりました。それでもデプロイや運用、トラブル時の判断はまだ難しい。そこを渡り切るまで一緒に走り、渡り切ったら手を離す。これが私の考える、捨てられないFDEです。

実際の現場で起きたこと

先日、東京・茅場町のシステム開発会社、システムパック株式会社でブートキャンプを実施しました(先方の確認をいただいて、導入事例として公開しています)。

参加者の一人は、長年この業界でやってきたベテラン社員の方です。初日から毎日「すごい」と口にしていて、最終日の夜の打ち上げでは、スマホでその場でアプリを完成させて見せてくれました。

もう一人は、入社2ヶ月の新人エンジニアです。自分でアプリを作り、デプロイして公開まで自力でやり切りました。「自信がついた」と言いながら、自分のアプリを嬉しそうに触っている姿を見て、可能性が一気に広がった瞬間だと感じました。

参加者全体の結論は「使わない手はない」でした。AIは完璧ではありません。それでも、人手でやればもっと時間もお金もかかる。そう腹落ちした人たちは、私が帰ったあとも自分たちで作り続けます。7割が捨てられる世界とは、逆の方向です。

FDEの価値は「作ったもの」ではなく「残したもの」で決まる

ガートナーの予測は、FDEという言葉の流行に冷や水をかけるものです。ただ、中身を読むと否定ではなく、条件の提示だと思います。現場に知識を残すこと。最初から出口を決めること。この2つを満たせば、FDEはちゃんと機能します。

私たちは、作って納品して終わりにはしません。お客様が自分の手で直し、育てていける状態をつくり、そこで手を離します。それがForward Field Technologiesの考える「現場を、前へ。」です。

社内で使うアプリを自分たちで作りたい、AIを入れたけれど定着しない、IT費用が妥当か分からない。そんなお困りごとがあれば、まずは無料相談でお気軽にお声がけください。

現場アプリ内製化ブートキャンプについて


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Author
遠藤 友治

フォワード フィールド テクノロジーズ株式会社 代表取締役。 1996年から業務システムの保守・開発に従事。官公庁・保険・製造業を経て、2007年からコンサルティング会社の開発部門を統括。2026年にFFTを創業。一般社団法人日本生成AI推進協会 技術部長。

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